OUT
この頃あちこちから本を借りていて、昨夜も友達から薦められた本を読んでいた。桐生夏生のOUT。何年か前に出版されたミステリーものだが、とても面白いと英人も言うので(翻訳されている)、借りてみる事にした。日本語版ね、勿論。
物を読みながらいつも思う事だが、作家の作品を書く前のリサーチは研究論文を書く時のそれに匹敵する。なんでだか知らないけれど、歌舞伎町とか置屋とかこの頃やけに水商売づいた物を読まされているのだが、(読まされてるって事も無いけど、私が選んだんじゃなくて人が持ってきてくれる本だから、読まされてるって感じよね)この本も新宿が出てくる。スナックの女とか、なんて言うの、女衒(ぜげん、って読むんだって。へー、知らなかったわあ)とか。で、その人達の生活ぶりとか、どんな女なら売れっ子になるとか、詳細に書かれている。でも考えてみるに、この女流作家がそんな所で働いていた訳ではないだろうし、ま、自分の近くにそういう人がいたのかもしれないけれど、でも結局は自分で色々な人にリサーチかけたんだろうと思う。すごいよね、プロ根性。ま、どんな世界だって天才アマチュアでいる方が凡才プロよりも楽なのよ。
こっちの国にも確かに沢山いるけど、日本人(おやじ)のロリータ好みっていうのは、一体いつから始まったんだろうか?ま、こっちの国のはロリコンと言うより、幼児虐待の変態的なものだけどね。日本のは本当にロリコンでしょ。高校生の制服着てるのが好きってタイプ。おぼろげに覚えているのは、まだまだそんな汚れも無い清い清い高校生活を送っていた当時(...ま、とりあえずね)、地下鉄の駅で友達待ってたら、それこそ仕事一徹風の黒ブチ眼鏡トレンチコートのおやじがのこのこと近寄ってきて、とりとめの無い話を始めた。何だろうこの人、といぶかしく思いながら適当に返事していたら、いきなりこれからどこか行かないかと言い出した。私は本当にその頃世間知らずで、この人もしかしたら道に迷ってるのかしら、とかお金無くしちゃったのかしら、とか助けた方がいいのかも、なんて呑気に思ったりしたのだが、その何秒か後にはっと、ホテルに誘ってるんだ、この人、と察した。私は単に察しが悪いだけだ。その時はね。察したと同時にその場から駆け出していたのだが、後日女子校の友達にそれを話したら、「そう言う時はね、おじさん私高いよ。10万出さなきゃ無理無理、って言うのよ。」と言われ、ショックを受けたものだった。そのショックは、あーそういう手もあったか、というショックの方。勿論私達の時代には、まだ下着売ったりとか援交なんてものは無かったのだが、都内の女子校の中には強者がいたりして、ま、その友達も強者だったわけだ。彼女の弁護の為に付け加えるが、彼女はそう言う事をしていた訳でなく、でも女子校は結構早熟者が多かったりするのだ。
そんな事はともかく、日本人男は何故にロリコンに走るのか。太古の昔からそうだったとは思えないけどねえ。江戸時代の男達がロリコンだったって話、聞いた事が無い。自己の征服欲を果たす為か?それとも優越感を享受する為か。ま、別にロリコンの心理追求をしているわけではないので、ここら辺で終わりしておく。
この桐生夏生の作品のすごい所は、ロリコン趣味からはおよそ正反対の女に惹かれた男を書いた所だろう。そしてそれも普通の出会いではなく。男が、大して綺麗でもなく、なりふり構わない40女に魅力を感じるのはどういう時だろう。家庭はばらばらに壊れ、悲しいとか寂しいとか感じる神経は麻痺し、毎日毎日会話もしない家族の為に食事を作り、生活費を稼ぐために夜勤するような女に男が惹かれるとしたら、それは何故だろう。強さか。男に媚びない強さか。それを男は挑戦に感じるのだろうか。....でも普通、日本の男は(皆ではありません、ちなみに。)女がばりばり仕事したりするとうさん臭く感じるものでしょう。会社なんかにいるとそれが強く出る気がする。大して仕事出来ないくせに、男だからってのを全面に押し出して万能女性社員を邪見に扱うなんて日常茶飯事でしょ、今でも。じゃあ、賢い女はどうする。こういう馬鹿な輩を、さも尊敬してます、私はあなたの足下にも及びません、てな態度でもって、男をおだてて自分の好きな風に操る。そーだよね、そうなっちゃうよねえ。でも、そういう事をしたがらない女はどうすればいい。そーさねえ、アメリカの会社に行くか。
とにかく、この40女に復讐する40男の壮絶な最期は、結局、運命の出会いは避けられないって結論になるのかしら。全く違う世界で生きていた二人がふとした事で出会ってしまう。殺す者と殺される者になり、否定し続けても、最期には自分達が似た者同士だと確信してしまう。それは側にいて暖かいとかほんわかするとかそんな生易しい類いのものではない。男と女が求め合う。頭の中で否定していても。そんな運命ってやっぱりあるんだろうか。どんなに否定しても否定出来ないものがこの世には存在するのだろうか。
....あ〜あ、またやっちゃった。何となくこの本の内容言っちゃてるよねー。でもでも、読んでみないと分らない、この本のすごさ。壮絶だけど、純愛って気もする。
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